商標代理の崩壊

商標代理の崩壊 商標
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この流れは今後ますます加速していき、商標代理手数料で利益をあげることはできない時代に入っている。

商標代理をする場合に必要な打ち合わせは概ね以下のとおりで弁理士会でも最低限、このような内容のヒアリングをすることを求めている。

なぜ商標登録をしたいのか目的を聞く

事業にとって商標の重要性を聞く

商標的に使用をしているかを聞く

業務内容や事業計画を聞く

どのような媒体に使用するかを聞く

競合他社の状況を聞く

依頼人と出願人の関係を聞く

過去の出願経験を聞く

これらのことを依頼者から聞いたあと、代理人として次のような情報を提供することになっている。

コンフリクト状況を説明する

先行商標について調査の必要要請について説明する

商標制度を説明し、特許や著作権の違いについて説明する

商標の使用による識別性について説明する

諸費用について説明する

このような打ち合わせを前提として10万円程度の手数料を想定しているのだが、1万円という格安手数料や登録にならなかったら手数料返金というところまであり、10万円を想定した上記のような打ち合わせはオーバースペックである。

手数料を下げるなら打ち合わせの内容を簡素化すれば良いのだが、簡素化して将来のトラブルに対応できないというリスクを負いたくないので、打ち合わせの内容は固定のまま手数料だけが下がる。

これで良いのかと問いたいところだが、起こっていることは全て正しいというなら致し方ない。

商標代理について思うところは、特許を受けるよりも違う意味で緊張するのである。

実は特許が取れなかったら困るという依頼者にはこれまで余り出会ったことがない。

特許は難しい、登録率が低いという制度的な事情もあるが、依頼者としても関連技術がどの程度、存在するかを知っているから、特許の成立の可否について、ある程度の想像がつく。

一方で商標の場合は、現に事業で使用しているため今更変更できないというような切羽詰まった事情もあり、登録の有無が事業に直接影響する。

事業にとって極めて重要なポジションを占める商標登録手続きであるにも関わらず、それに費やす費用は捻出したくないという、なんとも二律背反的な依頼なのである。

料金の話をすると、高いですね、という反応を頂くことや、安くなりませんかという値下げ交渉を受けることがあるのだが、それを聞くと本当に商標が必要なのだろうか、と登録の必要性について懐疑的な見方をしてしまう。

委任代理は依頼者との信頼関係で成立するのだが、プライスショッピングの結果として委任される、または委任されないというのが現実である。

この記事を書いた人
TANAKA Tomio

2004年弁理士登録
電機・電子・IT分野を得意とし国内・国外の権利化について豊富な経験と実績あり。
中国上海駐在経験を活かし中国実務についても豊富な経験あり。
知的財産調査官として特許を始め意匠・商標・著作権・不正競争防止に係る模倣品の輸入差止め審査に従事した経験を活かし模倣品対策についても積極的に取り組む。

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