米国著作権登録で拒絶されてしまったお話

米国著作権拒絶 著作権
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当事務所では日本の他に米国での著作物の登録も行っていますが、先日、まさかと思うことがあった。

それは登録の拒絶。

現地の代理人に手続きを依頼したが、その代理人に対して事前に何らの連絡もなく拒絶というレポートが送られてきたらしい。

著作権法は、登録が効力の発生要件ではないので、登録が拒絶されたからと言って著作権がないということではないが、米国著作権局が拒絶した理由を読むと創作性を否定していることがわかる。

なぜ著作権局が創作性を審査しているのかという怒りが込み上げてきた。

現地の代理人も拒絶されるのは初めてとのこと。

著作権局のレポートには他人の創作物やありふれたモノは保護の対象にならないと言っているが、保護の対象になるかならないかは著作権局が判断する事項ではなく、著作権局は登録申請に基づいて登録するのが本来の姿であるはず。

登録の拒絶に不服がある場合は、再審査をリクエストをしてくださいというコメントがあるものの、再審査のために新たに著作権局の費用USD250が発生する。

再審査のリクエストをしようにも、著作権局の費用に加え現地の代理人の費用も発生するため、再審査のリクエストは断念した。

米国著作権局が創作性を否定したはずの著作物だが、この著作物は、後日、日本の特許庁で意匠登録された。

特許庁の意匠登録審査では、容易に創作し得ないこと(創作非容易性)を審査するので、日本の特許庁は著作権局に登録申請した著作物に対して容易に創作できたものではない、つまり創作性があるという判断をしたことになる。

日本に比べて米国の著作権登録制度の使い勝手が良いという理由で、これまで多くの著作物を米国著作権局に登録する手続きをしてきたが、拒絶というのは今回が初めて。

今回のような拒絶を経験すると、これまで両手を挙げて勧めていた米国著作権登録に対して懐疑的になってしまう。

それでは米国に登録しなければ良いではないかということになるのだが、日本以外に著作権登録システムが機能しているところは米国と中国くらい。

中国トラブルにフォーカスするのであれば中国に登録した方が良いが、登録によるビジネス効果を狙っているので米国ということになる。

日本は残念ながらビジネスという目的では役不足。

米国著作権登録のビジネス効果を簡単に説明しておくと、米国で登録されると著作物がDBや図書館を介して公開されることになる。

ハリウッドやディズニーを国を挙げてサポートしている米国では著作物に対する扱いも破格で、エージェントは金になるコンテンツを常に探している。

もし白羽の矢が立つようなことがあればマネタイズが可能になる。

著作権を登録する費用自体は、どこの国も対して変わりはないので、せっかく登録するのであれば、夢を買うことができる米国で、というのが米国に登録する理由の一つ。

弁理士の仕事は夢を語ることができるのが良いところ。

この記事を書いた人
TANAKA Tomio

2004年弁理士登録
電機・電子・IT分野を得意とし国内・国外の権利化について豊富な経験と実績あり。
中国上海駐在経験を活かし中国実務についても豊富な経験あり。
知的財産調査官として特許を始め意匠・商標・著作権・不正競争防止に係る模倣品の輸入差止め審査に従事した経験を活かし模倣品対策についても積極的に取り組む。

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