著作権を難しく考えない

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著作権という言葉、今でこそ誰でも知っているが、少なくとも20世紀まではほとんどの人が知らないし、知る必要もない法律だった。

弁理士の間でも著作権を嫌う人は少なくない。

著作権が仕事になるなら力を入れるだろうが、はっきりいって著作権は仕事にならなない。

自分の場合も勤務弁理士だった頃は著作権とは全く無縁だったのだが、岡本薫先生の講義を受けて砂を噛むような著作権法が実は業界の縮図を表していること、模倣品の差止めを行うようになってから、俄然興味を持つようになった。

そんなわけで著作権相談を受けることも多いのだが、なぜにこうも複雑に考えるのかというのが正直なところ。

相談のほとんどが、これは著作権侵害になるのかどうか、無断で使っても良いのかどうか、という2点に絞られる。

特に、無断で使えるかどうかを非常に気にしているのだが、著作権法のどこにも無断で使ってよいケースなど定めた条文はない。

著作権の考え方は、承諾を得ないで勝手に著作物が使われることを制限することであるから、要は承諾を得たうえで使うようにすればすべての疑問は解決するのである。

さらに自分で創作したものを使う分には、著作権のトラブルを気にする必要もない。

著作権のトラブルを回避したいのであれば、他人の著作物を勝手に使わない、使うなら承諾を得る、それが面倒なら自分の著作物を使う。

著作権の解説がそうであるように、無断で使える場合を事細かく解説していることが多いが、無断で使える権利ではなく、無断で使っても権利が及ぼない、という権利者側を制限しているに過ぎない。

ここを勘違いして著作権を無断で使える権利と考えるから、著作権が難しくなる。

あと、著作権を過大に評価する人がいる。

著作権は表現を保護するに過ぎないのに、その背景にあるアイデアまでもが保護されているという考えである。

これがエスカレートすると、私には著作権があるから特許は必要ない、と考え、これを取引契約に落とし込む猛者もいる。

自分もそうであったが著作権法を勉強するときに他の法律と同じように立法趣旨を理解して要件効果を覚えるということをやると、一気に著作権法が嫌いになるから止めた方がいい。

大局的に言えば、強い業界を保護するための法律であり、その最たるものはハリウッドやディズニーを守るための法律である。

創作者の権利云々、文化の発展云々は、後付の法目的であって、例えば同じ創作行為を行っているのに音楽業界、出版業界、映画業界のそれぞれで権利があったりなかったりする不思議な法律なのである。

この記事を書いた人
TANAKA Tomio

2004年弁理士登録
電機・電子・IT分野を得意とし国内・国外の権利化について豊富な経験と実績あり。
中国上海駐在経験を活かし中国実務についても豊富な経験あり。
知的財産調査官として特許を始め意匠・商標・著作権・不正競争防止に係る模倣品の輸入差止め審査に従事した経験を活かし模倣品対策についても積極的に取り組む。

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