静岡弁理士 田中智雄の知財ノート | 田中特許事務所

アイデア・デザイン・ブランドのこと

著作権とCopyrightは似て異なることを知る

英語で著作権のことをCopyrightというのだが、これは正解であるようで実は不正解である。

Copyrightは字の如くcopyとrightの組み合わせであり、コピーは複製を意味するから、Copyrightは複製権となるはずである。

外国語を翻訳するときに日本に存在する言葉に対応させる方法と、日本に存在しないものを新たに作りだす方法がある。

後者の場合は外国語の称呼をそのままカタカナで表す方法が用いられる。

医学用語にドイツ語読みのカタカナが多いのは、当時の日本に対応する言葉がなかったから。

最初にCopyrightを著作権と翻訳した人は、そのどちらのルールにも当てはまらない方法を採用したようだ。

Copyrightを正しく翻訳するのであれば、本来であれば複製権か、そのまま「コピーライト」とすべきであったはず。

かりに著作権に対応する英語があるとすれば、authorrightやcreativerightのような言葉なのだが、そのような言葉は見当たらない。

著作権は支分権の束と言われるように、複数の権利の集まりである。

代表的な権利が複製権。

インターネットが普及してこれだけ著作権が話題になる前は、著作権=複製権でも良かったのだが、現在は公衆送信権や公表権といった複製権以外の権利の方が幅を利かせるようになってきている。

「著作権」と言った場合には、複製権、公衆送信権、公表権を含むと日本では理解されている。

しかし「Copyright」と言った場合には、種々の権利のなかの複製権しか意味しない。

ここまでは比較法的な考察であるが、我々実務家としてはそのような違いが実務でどのようなリスクとなって顕在化するかを検証しなければならない。

著作権の譲渡契約において、日本では著作者人格権不行使条項を盛込むのが実務上の決まりなのだが、外国企業、特に米国企業との著作権契約でこれに該当する条項があるかと言えばそうとは限らない。

これが意味するところは、Copyright条項があるからと言って、それが日本で言うところの著作権を指すとは限らないことであろう。

コモンローを採用する英米法を採用する国の企業と交わす契約書は、事細かにルールが定められていることで有名なのだが、著作権条項が充実しているという感覚はない。

さらに言えば、日本のように著作権が複雑過ぎてトラブルの種になっているような感じすらない。

つまりである。

Copyrightに関する権利処理は、米国では複製権に関することだけを指しているのであり、それ以上の人格権などは概念すらないのかもしれないということを理解しておく必要がある。

人格権レベルの権利処理をしたいのであれば、それを明文化しておく必要があるということを知っておく必要がある。