静岡弁理士 田中智雄の知財ノート | 田中特許事務所

仮想通貨・ブロックチェーンの特許ポートフォリオ

酒の樽の保存状態をブロックチェーン技術を利用して把握し真正な情報を提供する

特許第6829927号

原酒が充填保存されているウイスキー等の樽の保存状態(どの蒸留所で、何の銘柄で、いつどのような樽に充填されたのか等の情報や、温度、湿度、熟成年数等の管理データ)をリアルタイムで把握する発明です。

 

原酒を充填する樽にGPSセンサ、IoTセンサを設置しています。

位置情報、原酒充填日からの時間経過、定時温度湿度情報をブロックチェーンに記録しています。

 

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【発明の構成】

樽固有の樽番号と紐付けた蒸留所名、銘柄、原酒充填日を含む基本データをサーバーに記録、樽番号と紐付けたGPSセンサーが発信する位置情報、樽番号と紐付けたIoTセンサーが発信する原酒充填日からの時間経過、所定時間毎の温度及び湿度を含む個々の樽の保存状態データをサーバーに記録、
基本データ、位置情報、保存状態データを樽番号と紐付けてハッシュ化してパブリックなブロックチェーン上に記録、

 

【note】

工場で瓶詰めされて市場に流通するビールのような商品と違い、ウイスキーのような樽詰めされた商品は、樽を物理的に移動させて流通させるのではなく、樽の所有権を移転させる取引を行っています。

現物の樽が目の前になく、権利情報が記載されて証明書で樽を取引する場合、証明書の信憑性が必要です。

転々流通するごとに樽の権利が書き換えられとき、当然に書き換えミスが起こり、また故意に誤った情報で書き換える場合もあります。

人が介在する手続きである以上、仕方がありません。

 

転々流通するごとに書き換える情報を人手ではなくシステム化しようとするのが今回の発明です。

情報の取得レベルから人手を排除しGPSセンサやIoTセンサで定点情報を取得し、その情報を改ざんが難しいブロックチェーンに書き込むという仕組みです。

 

ブロックチェーンに書き込む情報として、常に最新情報のみに価値があるプログラム等の他、過去の情報にも価値があるサプライチェーン情報があります。

樽のサプライチェーン情報は、まさに過去の情報に価値があるわけでブロックチェーンに書き込む意義は十分あります。

 

樽のサプライチェーン情報をブロックチェーンに書き込む以外にも、樽に詰める酒の製造履歴をブロックチェーンに書き込むというのもありでしょう。

樽の流通状態を管理する以上に、樽の中身の製造状態の管理も必要です。

原材料やマイスタのような情報から、蒸留・醸造情報などを加えて樽の中身を知りたいという需要もあることでしょう。

 

田中特許事務所

弁理士 田中智雄