静岡弁理士 田中智雄の知財ノート | 田中特許事務所

仮想通貨・ブロックチェーンの特許ポートフォリオ

送金元のアドレスの汚染度を定量的に監視

【特許第6751489号】

 

アドレス間送金のトランザクションにおいて、マネーロンダリング対策のためにトランザクションモニタリングを実行しています。

汚染されている送金元のアドレスからの送金を受けたかどうかという判断でトランザクションモニタリングを実行すると、送金額に関わらず全てのアドレスが汚染されたアドレスに関与していると判断されてしまいます。

そこで単に汚染アドレスからの送金を受けたかどうかというだけではなく、どの程度の割合で汚染アドレスからの送金を受けたかどうかを判断する発明です。

 

汚染アドレスを登録し、その他のアドレスの残高履歴に対する汚染アドレスからの寄与の程度を汚染度として計算しています。

 

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汚染度は、アドレスへの移転量で定義しています。

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【発明の構成】

ブロックチェーンの高さi(iは正の整数)のブロックに含まれるj番目(jは正の整数)のトランザクションの各入力が表すアドレスをキーとしてアドレスと汚染度との対応づけを参照して各入力が表すアドレスの汚染度を取得、
トランザクションの各入力が表すアドレスからの移転量又は各入力が表すアドレスの汚染度のうちの小さい方をすべての入力について合計、
合計値又は各出力が表すアドレスへの移転量のうちの小さい方を加算汚染度として計算、
加算汚染度に応じて各出力が表すアドレスについて対応づけを更新

 

【コメント】

インターネットのパケット通信を想起させる技術です。

複数のパケットは異なるルートを伝播して再び連結します。

ブロックチェーンネットワークも同様に送金元アドレスから少額を意図的に複数の送金先アドレスに分散させることができます。

この送金方法を技術的な伝搬効率の向上を目的に使うのではなく、少額の送金に分散させることで外見的な正常送金を装うことを防ぐというのがこの発明の目的です。

少額送金に分割して複数の送金アドレスを経由させ最後に集約しようとする場合、最終アドレスがどのような経路を伝播したのかをモニタリングして最終アドレスの汚染の程度を計算して汚染の程度が大きい場合にフラグを立てるという仕組みです。

それぞれの送金が正常でも、経路上のすべての送金を観察すると異常性が顕在化するという知見です。

 

最近、グーグルマップの経路案内で、二酸化炭素排出量が最も少ないと推定される経路を案内する技術を採用しています。

複数の伝播経路の「量」を加算していき最適ルートを判断するという技術と似ています。

 

 

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弁理士 田中智雄