需要家と発電者との間の取引を仮想通貨で行う

特許第6533964号

需要家と発電者との間で仮想通貨を介して取引を行う発明です。

 

需要家の買電電力量と発電者の売電電力量とに基づいて電力取引が約定するか否かを判定しています。

約定する場合は仮想通貨で決済しています。

約定しない場合は、従前のとおり、小売電気事業者が買電もしくは売電して取引保証を行っています。

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【発明の構成】
所定の時間における所定の電気料金単価で、買電電力量と売電電力量とに基づいて、需要家と発電者との間の電力取引が約定するか否かを判定する、
約定しないと判定した場合、所定の電気料金単価とは異なる第1電気料金単価で、買電電力量を小売電気事業者から買電し、所定の電気料金単価とは異なる第2電気料金単価で、売電電力量を小売電気事業者に売電する、
約定すると判定した場合、所定の電気料金単価と、買電電力量と、売電電力量と、に基づいて、所定の仮想通貨で決済する、

約定しないと判定した場合、第1電気料金単価と、第2電気料金単価と、買電電力量と、売電電力量と、に基づいて、所定の仮想通貨で決済する、

 

【コメント】

仮想通貨を決済に使っていますが、この発明の本質的な特徴ではありません。

需要家と発電者との間で相対取引を行うこと、

相対取引が成立しない場合に、従来のとおり事業者が介在して、電力の売買保証を行うこと、

が本発明の本質的な部分です。

決済を仮想通貨で行うという特定をしていますが、これが特許の成立に寄与している割合は小さく、仮想通貨決済を特定しなくても審査に影響はなかったでしょう。

 

サブクレームにブロックチェーンネットワークを使った電力取引が記載されています。

ブロックチェーン技術を使って電力取引としては、

LO3 Energy

Power Ledger

Grid+

Conjoure

Greeneum

が有名です。

 

 

ブロックチェーンを使えば、決済プロコルの簡素化、迅速化というメリットが見いだされるものの、電力取引固有のメリットが何なのかが思い浮かびません。

今回の特許に関していえば、過去の電力量に基づいて約定条件を算出しているので、この数値の改ざんを防止するという点において、ブロックチェーンのメリットを享受できます。

 

電力事業者を介在させずに直接電力売買が実現するかは、法制度次第のところがあり、それを反映してか、発明の構成も、電力事業者を介在させた取引と、介在させない取引のハイブリッド構成になっています。

 

田中特許事務所

弁理士 田中智雄