秘密情報にアクセスすることなく取引所外で保管されている仮想通貨を避難させる

特許第6666511号

仮想通貨の避難に必要なトランザクションを秘密鍵にアクセスすることなく実行する発明です。

 

仮想通貨の送金に必要な秘密鍵のセキュリティを高めるためにハードウェアレットに保管することが行われています。ハードウェアレットを紛失してしまうと秘密鍵を取得することができなくなり、仮想通貨の送金ができなくなります。仮想通貨を送金を行うためには、再度、秘密鍵を生成する必要があります。今回の発明は、秘密鍵を保管するハードウェアレットが紛失した場合でも仮想通貨の送金を可能にしています。

 

仮想通貨の送金指示のタイミングで、残りの仮想通貨を退避するためのトランザクションを生成しておきます。

ユーザが仮想通貨の退避を希望する場合は、秘密鍵を用いてトランザクションを生成することなく、予め生成したトランザクションをブロードキャストします。

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【発明の構成】

ユーザーから前記暗号通貨の一部の送金指示の入力を受け取る、
ユーザーは避難機能を有効又は無効にすることが可能であって有効である場合、送金指示に応じて、指示された送金額を送金するための送金トランザクションデータ及び送金トランザクションデータの送金額を暗号通貨の全額から引いた残額の全部又は一部を避難するための避難トランザクションデータを取得、

【コメント】

仮想通貨の平時の送金処理の他に、緊急時の送金処理を用意しています。

例えば、パスワードを忘れた場合、パスワードの紛失を管理者に伝え、仮パスワードを発行してもらったり、新規パスワードの生成を行うなどを行ってから、平時のプロトコルを実行します。

平時のプロトコルを始めるまでに、時間や手間がかかるのがデメリットです。

今回の発明は、平時のプロトコルとは別に緊急時のプロトコルを用意しているところが特徴です。

平時の送金トランザクションの実行のタイミングで、緊急時の送金トランザクションを生成しておきます。

緊急時の送金トランザクションは、平時のトランザクションに比べて「簡素化」しているものです。

その「簡素化」とは、秘密鍵へのアクセスを省略しているところです。

秘密鍵が取得できる平時に、緊急時のプロトコルも生成しているので、緊急時には秘密鍵へのアクセスを省略して、予め生成しておいたプロトコルを実行するという考えです。

 

秘密鍵を紛失したことを「緊急」としているので、秘密鍵のアクセスを省略しているわけですが、平時のプロトコルのいずれかが実行できなくなることを「緊急」と定義すれば、その部分のプロトコルを省略したプロトコルを生成する、もしくは事前に生成しておく、という応用に展開できます。

 

今回の発明は予め生成しておくことを選択していますが、秘密鍵へのアクセスに代わる別の方法で送金トランザクションを生成するという展開もできそうです。

 

田中特許事務所

弁理士 田中智雄