ICOで資金調達する場合の取引所ごとのトークン価格を把握する

特許第6629929号

独自に発行したトークンを投資家に付与して投資家から資金調達を行う場合のトークンは複数の取引所で取引されます。トークンの価格が取引所ごとに異なるため、トークンを取得するときの価格管理が難しくなります。取引所ごとに価格が異なるトークンを取得するときの価格管理を容易にする発明です。

 

ユーザーのウオレットをアグリゲーションしています。

各取引所で提供されるトークン情報を取得しています。

各取引所で提供されるトークンを集約して表示しています。

 

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【発明の構成】
ユーザが保有するすべてのウォレットを特定、

各ウォレットにおける各仮想通貨及び各トークンの残高情報を取得、
取引可能なトークンを取り扱う取引所サーバを特定、
各取引所サーバから、仮想通貨及びトークンの取引価格情報を取得、
残高情報及び取引価格情報をまとめた画面を表示

 

【コメント】

IPOに代わって仮想通貨で資金調達を行うICOがあります。

ICOでは仮想通貨を投資家から調達してオファー者が発行した独自トークンを付与します。

 

仮想通貨で資金を調達する方法が今後、どれほど利用されるのかわかりません。

しかし国境を意識することなく、かつ送金手続きも簡単な仮想通貨の特徴を活かして、

一夜にして数億円を調達するという離れ業も夢ではありません。

 

 さて、クレーム上でトークンという言葉を使っているので、違和感があったのでよく調べてみたら、ブロックチェーン上で開発されている別の通貨のことを総称してトークンと言うことがわかりました。

そしてICOで発行される仮想通貨のことを「トークン」と言うのだそうです。

 

トークンの価格が取引所ごとに異なるため、トークンの価格管理が難しいという問題があり、今回の発明は取引価格が異なるトークンの取引を支援するものです。

 

例によって穿った見方をすると、価格が異なるモノのトレードは、例えばとうもろこしや金・銀などの取引がそれに該当します。

取引所を市場に置き換えると、資源価格のトレードと同じになります。

各市場の取引価格を集約して表示するというのもトレーダー室でみかける風景です。

 

それらのトレードと比較すると、ウオレットの有無が違いということになります。

資源の市場取引において、ウオレットに該当するものが見当たりません。

投資家が保有する仮想通貨の残高を確認する手段が発明の構成に含まれています。

 

ICOのことはよく分かりませんが、投資家が保有する仮想通貨を把握できるものなのか、また把握して良いものなのか、技術的にも論理的にも疑問に思いました。

 

ユーザが保有するウオレットの仮想通貨残高と取引所ごとのトークン価格をユーザに提示するところがエッセンシャルな特徴ですが、この集約情報を提供したことによる効果はサブクレームマターです。

 

仮想通貨関連発明は、まだ先行技術の蓄積がなく、今回も拒絶理由で先行技術が上がっていません。

 

田中特許事務所

弁理士 田中智雄