仮想通貨を第三資産で与信する

特許第6651108号

信用がない仮想通貨を取引する場合でも、法定通貨と同じような信用取引を実現しようとする発明です。

 

取引対象となる仮想通貨を第三資産で与信しています。

仮想通貨を取引しようとする場合に、取引対象の仮想通貨に対応する第三資産の有無は判断しています。

仮想通貨の発行/償還を、第三資産の存在を条件にしています。

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【発明の構成】
発行者が償還される暗号資産に対応する見合い資産を保有するか否かを判定、

見合い資産を保有すると判定したら、管理対象資産の一部又は全部を保持者に移転、

保持者が保有する暗号資産を償還

 

【コメント】

仮想通貨の取引と法定通貨の取引の違いは信用の有無です。

法定通貨でもドルや円やユーロのようなハードカレンシーは十分な信用の裏付けに基づいて円滑な取引ができます。

ハードカレンシー以外の通貨は、ハードカレンシーの与信を得て取引をしています。

 

現行の仮想通貨には信用がないため、ハードカレンシー以外の通貨と同じように与信を得て取引の安全を担保しようとするのが今回の発明の考えです。

 

ハードカレンシーにペックさせたステーブルな仮想通貨も今回の発明と同じような課題を解決する仕組みです。

 

具体的な取引では、第三資産で与信しつつ、仮想通貨を償還する場合は、与信している第三資産も合わせて移転しています。

 

ハードカレンシーの取引に慣れていると通貨自体に信用があると思ってしまいます。

通貨自体に信用がなくなれば、信用の裏付けが必要になります。

仮想通貨も法定通貨も実は同じ課題を共有していることになります。

 

与信を与える第三資産として法定通貨が考えられます。

しかし法定通貨の信用が怪しくなっていく将来、信用を得た仮想通貨(BTCが有力)を第三資産となります。

 

今回の発明の構成には、金利に対する処理が含まれています。

仮想通貨に金利を付与すること自体は公知なのですが、仮想通貨の価値が金利付与によって増減すると、第三資産とのバランスが崩れます。

つまり、金利付与により仮想通貨の額面が増えると、金利付与前の与信額では足りなくなります。

またマイナス金利付与により仮想通貨の額面が減ると、金利付与前の与信額が過剰になります。

与信で裏付けした仮想通貨の額面が変わったときに、それに対応する第三資産も処理するというのは単体では与信決済ができない仮想通貨固有の課題です。

 

ただ穿った見方をすれば、銀行の融資でも定期預金や不動産を担保に設定して融資額の保全を図り、かつ融資額が増加すれば定期預金を積み増しを強要するという仕組みがあります。

技術的な課題というよりは人為的な課題です。

 

田中特許事務所

弁理士 田中智雄