静岡弁理士 田中智雄の知財ノート | 田中特許事務所

仮想通貨・ブロックチェーンの特許ポートフォリオ

マイナーへの報酬を枯渇させない仮想通貨

特許第5871347号

取引後に価値が減り続ける仮想通貨を設計し、マイナーへの報酬を減価額に応じて決める発明です。

 

通貨を発生させたトランザクションの発生時刻と現在時刻との差分に基づいて減価率を計算しています。

ブロックに格納したトランザクションの減価額の合計を計算します。

減価額の合計をマイナーの報酬として設定しています。

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【発明の構成】

仮想通貨を送金する第1の取引における第1の送金金額及び第1の送金日時を含む第1の取引情報と、第1の送金金額の少なくとも一部を送金する第2の取引における第2の送金金額及び第2の送金日時を含む、第1の取引情報とは異なる第2の取引情報と、を記憶、
第2の取引情報の正当性を検証、
第1の送金日時と第2の送金日時との差分と、第1の送金金額とに基づいて、第1の送金金額の第2の送金日時における減価額を計算、
減価額に基づいて、第2の取引情報の検証者への報酬額を決定

 

【note】

例えばBTCは、当初のマイニング報酬は50BTC、その後の報酬が25BTC、さらに12.5BTCというように、ゼロに向かって逓減していきます。

コインの発行が終わり、マイニング報酬が0になったとき、マイナーへの報酬は手数料のみになります。

BTCは発行量を予め決めてインフレ抑止を目的とするデフレ通貨です。

 

今回の発明は、BTCがデフレ通貨なのに対して「インフレ通貨」です。

つまり、通貨発行とともに価値が低くなるように設計しています。

自然通貨は物価が上昇することに対応して発行通貨の価値が減ります。

今回の発明のインフレ通貨は、物価上昇という経済現象ではなく、価値を逓減する関数を設定し、時間経過とともに必ず価値を逓減させています。

 

時間の経過とともに右肩下がりで価値が減るので、通貨発行時から時間が経てば必ず価値が減少します。

経過時間に基づいてマイニング報酬を計算すれば、必ずプラスになるので、時間経過をパラメータとしてマイニング報酬を決めることができるという考えです。

 

経時的に右肩下がりで価値が下がる通貨を想像しにくいのですが、有効期限があるクーポンのようなものでしょうか。

消費を刺激するために有効期限があるクーポンを配ることがあります。

今回の発明も価値が必ず減るということを利用して仮想通貨の価格が高騰しないというメリットも指摘しています。

 

価値が下がる仮想通貨に需要があるのかと思うのですが、実際のところ、NEOやEOSは半減期が設定されておらず、また発行上限も設定されていません。

そして、なぜか取引価格は安いながらも安定しています。

 

 

半減期を終えた仮想通貨が今後どのような帰趨をたどるのかはまだだれにもわかりません。

いろいろな性質の仮想通貨が発行されている今、今回の発明のような「インフレ通貨」が注目されるかもしれません。

 

田中特許事務所

弁理士 田中智雄