マルチシグが揃う前に暫定的に仮想通貨を発行する

特許第6521421号

マルチシグが揃うまでの間の不正を防止するために、マルチシグが揃う前に暫定的に仮想通貨をブロックチェーン上に発行し、マルチシグが揃ったことを確認して暫定的なトランザクションを事後的に承認する発明です。

 

ユーザ署名に基づいてユーザが仮想通貨の発行を申請すると、カストディアン署名が生成される前に仮想通貨の発行を暫定的に許可しています。

カストディアン署名の生成を待機し、暫定的な仮想通貨発行から所定期間内にカストディアンの署名が生成されるたことを条件に暫定的に発行した仮想通貨を承認しています。

 

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【発明の構成】
ユーザーからの暗号通貨発行申請に基づいてブロックチェーン上において仮の暗号通貨を発行する、
仮の暗号通貨が発行されてから所定の期間内にカストディアンによる第2の署名が受信され、第2の署名が正当なものであると確認された場合に、仮の暗号通貨が承認済みの有効な暗号通貨として処理されるようにする、

 

【コメント】

一つより二つの方がセキュリティが高いというマルチシグの考えです。

マルチシグによる仮想通貨発行の問題は、複数の署名が揃うまではトランザクションブロックを生成できないことです。

複数の署名が揃うまでの時間が長いほどハッキングの被害にあう確率が高くなります。

トランザクションブロックをブロックチェーンに加えるまでの時間を短くする一番簡単な方法は、マルチシグを止めてシングルシグに戻すことです。

馬鹿なことを言っているようですが、今回の発明はシングルシグで仮のトランザクションブロックを生成し、マルチシグの条件が揃ったことを確認して仮のトランザクションを有効化しています。

つまり、シングルシグで想通貨を仮発行してマルチシグで仮発行した仮想通貨を承認するという仮想通貨の二段階発行です。

 

発行した仮想通貨が事後的に承認されなかった場合のフォローをどうするかという疑問は残りますが、技術的にはマルチシグの時間的な問題をクリアしています。

 

マルチシグの考えを使った取引は身近なところに見られます。

例えば、ヤフオクのシステムをみてみると、シングルシグの考えでは、落札代金の入金という一つの条件で取引を実行していたのが、落札代金の入金と商品到着の2つの条件が揃ったことを条件に取引を実行しています。

代金を払ったのに商品が送られてこないという問題をマルチシグの考えでクリアしています。

 

田中特許事務所

弁理士 田中智雄