マルチシグ認証でトークンの不正販売を抑制する

特許第6840319号

高配当や高利率をうたって投資を募る暗号トークンの不正販売を抑制する発明です。

 

秘密鍵がN個(Nは3以上の自然数)用意され、N−a個(aは自然数)の秘密鍵で電子署名の検証が可能なマルチシグニチャの公開鍵方式です。

データ上の権利である暗号で暗号トークンの電子取引、暗号トークンの複数次流通取引として処理する取引情報システムです。

予め監査権限が付与されており暗号トークンの募集元に対応する秘密鍵を保有する複数の監査者に対応し、秘密鍵で取引を認証する複数の監査装置を使います。

暗号トークンの募集元が一つの秘密鍵を保有し、複数の監査者が残りの秘密鍵を一つずつ分散して保有します。

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【発明の構成】

秘密鍵がN個(Nは3以上の自然数)用意され、N−a個(aは自然数かつN−aは2以上)の秘密鍵を用いて電子署名を行うことが可能なマルチシグニチャの公開鍵方式を用いて、データ上の権利である暗号を用いた暗号トークンの電子取引及び該暗号トークンの複数次流通取引として処理、
予め監査権限が付与されており移転元に対応する秘密鍵を保有する複数の監査者に対応し、秘密鍵を用いて取引を認証する複数の監査装置、
認証された取引をブロックチェーンに書き込むことにより、認証された取引を成立させるP2P(Peer to Peer)ネットワーク、
移転元が一つの前記秘密鍵を保有し、複数の監査者が残りの前記秘密鍵を一つずつ保有、

 

【note】

BTCやETHの他、独自に発行して企業が提供するサービスに使うことができるクーポンがあります。

いわゆるポイントの仮想通貨バージョンです。

一企業が必要に応じて任意に発行できてしまうことから、高配当や高利率を謳ってクーポンへの投資を募る詐欺も横行しています。

今回の発明は、クーポンを発行するときのマルチシグを工夫してトークンの不正販売を抑制しています。

クーポンの発行元と取引の監視者に対してそれぞれ秘密鍵を割り当てています。

複数主体に対してそれぞれ秘密鍵を割り当てるマルチシグは公知なのですが、この発明はクーポンの発行者以外に割り当てた複数の秘密鍵だけでもトランザクションの認証を行うようにしているところに特徴があります。

 

 

乱暴な言い方をすればクーポン発行者が存在しなくても、他の複数の秘密鍵でトランザクションのマルチシグ認証がシステム上できてしまうことになります。

どのようなときにクーポン発行者以外の複数の秘密鍵でマルチシグ認証をするのかといえば、クーポン発行者が秘密鍵を紛失した場合や、発行者が死亡して、秘密鍵を引き出すことができない場合を想定しています。

発行者の秘密鍵がなくても、マルチシグ認証ができてしまうことを許容していることは、メリットにもなりデメリットにもなります。

 

田中特許事務所

弁理士 田中智雄