仮想通貨を使わないスマートコントラクトのエスクロー決済

特許第6224283号

スマートコントラクトを利用したエスクロー決済を仮想通貨なしで行う発明です。

 

販売者がECサイトに商品を出品登録します。

出品された商品の購入を希望する購入希望者が金融機関に対し支払指示を行ないます。

販売者への代金の入金可否判定を行なった後、スマートコントラクトにより決済処理(支払処理および納品処理)を行います。

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【発明の構成】

第1のコンピュータが、第2のコンピュータから、購入希望商品の支払指示データを受信する、
第1のコンピュータが、支払指示データ、購入希望商品の購入希望者の口座データに少なくとも基づいて、購入希望商品の販売者への代金の入金が可能か否かを判定する、
代金への入金が可能であると判定した場合、第1のコンピュータが、入金が可能である旨をスマートコントラクトが格納された第3のコンピュータに通知する、

スマートコントラクトは、入金が可能である旨の通知を受信すると、第3のコンピュータに購入希望商品の決済処理を実行させる、

決済処理は、少なくとも、購入希望商品の支払処理および納品処理の指示を含む、
第1のコンピュータが、購入希望商品の決済データを第3のコンピュータから受信する、
第1のコンピュータが、決済データに基づいて、購入希望者から販売者への支払処理を実行する

 

【note】

スマートコントラクトという用語がブロックチェーンを意識させすぎてしまいます。

しかし、スマートコントラクトという用語を、自動処理という言葉に置き換えれば、これまで人が行っていた処理をコンピュータハードウェア資源を用いて自動化したに過ぎません。

ECサイトにおける出品者と購入者との間の処理を自動化することは、これまで人間が行っていた処理を単に自動化したに過ぎず、このような処理はソフトウェア関連発明の審査基準では特許性がないとしています。

この発明が特許になったこと、しかも拒絶理由が通知されていないことに驚いています。

 

スマートコントラクトという概念は、よく自動販売機の処理に例えられます。

ユーザが商品を選択して、その商品の代金を投入することをトリガーとして、予め設定された商品払い出しというプログラムが実行されます。

 

今回の発明も、ECサイトにおける購入者から出品者への料金支払いが可能という判断をトリガーとして、予め設定されている決済処理プログラムを実行するというものです。

 

スマートコントラクト、つまり自動化処理は特に目新しいものではなく、スマートコントラクトとブロックチェーンとを結びつけたことに技術的な効果があるのですが、この発明は技術的進歩に対して遡及しているように感じました。

 

田中特許事務所

弁理士 田中智雄