仮想通貨の価格分析を支援する発明

特許第6732309号

仮想通貨の価格変動がどのような要因に影響されているかを特定して仮想通貨の価格分析を支援しようとする発明です。

 

ブロックチェーンデータに含まれる複数の取引履歴のなかから、他の取引履歴に比べて特異な取引、つまり仮想通貨の価格変動に影響を与えるとされる取引を抽出しています。

 

特異な取引の例

(総金額が特異)

総金額の偏りを算出し、偏差が大きい取引履歴を総金額が特異であると定義しています。

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(送金元が特異)

送金者を基準として総金額の偏りを算出し、偏差が大きい取引を行っている送金者が特異であると定義しています。

 

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(送金回数が特異)

送金者の送金回数を算出し、所定回数を超える送金を行っている送金者が特異とであると定義しています。

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(送金先が特異)

送金元の送金額、送金回数による特異定義を送金先に適用しています。

 

(その他)

機械学習により特異なイベントを抽出することも示唆しています。

 

【発明の構成】

ブロックチェーンデータに含まれる複数の取引履歴の一部と、所定期間における仮想通貨の価格変動を示すチャートデータとを表示

所定期間は表示される一の取引履歴に規定される取引日時を含む

 

【コメント】

仮想通貨の変動の原因が取引の特異性にあると仮定し、特異性のある取引を取引履歴から抽出しています。

仮想通貨に限らず株式でも特異な取引をモニターしています。

なので特異な取引に着目するという思想は公知です。

ただし特異なデータの取得対象をブロックチェーンに求めていることはブロックチェーン技術を取り入れた仮想通貨固有の技術です。

また取引履歴の全てではなく一部を抽出するという点も評価されています。

サブクレームにおいて具体的な特異データを特定しています。

ここまで特定すれば特許性は容易に主張できます。

この発明の関心するところは、1stクレームを「取引データの一部」という概念で審査をクリアしているところです。

ここまで抽象的だと、審査官の心証としてもう少し具体的なレベルまで限定してもらいたいところでしょう。

ブロックチェーンを発明特定事項に含めると、先行技術との差異を主張しやすいことも要因です。

審査段階でリストアップされた先行技術と出願発明との差異の評価をみると、ブロックチェーンを処理対象としているかどうかが判断されています。

ブロックチェーンを発明特定事項にした技術が少ない現在、ブロックチェーンというキーワードがとても重要な要素になっています。

 

 

田中特許事務所

弁理士 田中智雄