仮想通貨のボラティリティを抑える

特許第6352463号

ボラティリティが高い仮想通貨と法定通貨との交換価格を提示し、交換価格から乖離する価格での仮想通貨の取引量を抑える発明です。

 

仮想通貨と法定通貨の交換価格を設定しています。

交換価格をユーザ端末に表示しています。

ユーザは交換価格での取引の実行を要求します。

 

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【発明の構成】

仮想通貨と法定通貨間の変換を依頼する変換依頼信号を通信端末へ送信、
法定通貨に対する仮想通貨の固定価格を通信端末に表示、
変換を要求するための変換要求信号を通信端末からへ送信

 

【note】

仮想通貨に対する信用を法定通貨との交換価値に求めるという心理を利用しています。

仮想通貨の価格が上がることは評価されても、ボラティリティが高いことは、投機を目的とする場合以外は歓迎されません。

価格が上がるにせよ下がるにせよ、ある程度の安定化が必要です。

為替についても急激に価格が変動する場合は介入をして鎮静させています。

 

この発明は、為替介入と同じような方法で仮想通貨の発行体が介入して価格を安定化させるのではなく、仮想通貨発行体が法定通貨との交換を保証する価格を提示しているところに特徴があります。

法定通貨との交換を保証してくれるなら、その価格で取引しようという心理です。

これによって仮想通貨の市場価格が発行体が提示した交換価格に収束するだろうという効果を期待しています。

法定通貨との交換「保証」価格での取引に誘導し、交換価格から乖離した取引を成立させないようにしています。

 

法定通貨の市場介入もマクロ的には効果がないと言われています。

仮想通貨の「介入」という操作がどれほど効果があるのかはわかりません。

 

そして仮想通貨の発行主体は仮想通貨の価格を固定したいのか、それとも仮想通貨の価格を安定化させたいのか。

仮想通貨の市場価格と、発行体が法定通貨との交換を保証する交換価格とがどのようにリンクするのか、もしくはさせたいのか。

法定通貨との等価交換をしたいなら、それはステーブルコインなのか。

 

変動する市場価格がある以上、仮想通貨の価格も変動するのが当然です。

 

変動する市場価格を前提として、あまりにも大きいボラティリティを抑えたいということであれば「安定化」であり、価格の固定化は無理です。

 

 

審査記録を見てみると、当初発明は「所定」価格でした。

「所定」という言葉自体はクレーム記載でよく使います。

しかし、それは「予め定められた」と対で使われるもので、「所定」単独では不明瞭です。

「所定」が経時的に変化する可能性がある値ならば、市場価格を考慮して予め定めた「所定」価格という記載で特定されるべきでした。

最終の特許発明のクレームは「固定」価格になっています。

これによって得られる効果は、安定ではなく、仮想通貨の価格の固定です。

 

それがこの発明の目的だったのかどうかは分割出願で反映されるのかもれません。