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今でこそ当たり前になってコード決済の「PayPay」
当時は、すぐにPayPalを思い出し、これは商標的にまずいのではないか、という疑問を持ったものだった。
サービス開始と同時に怒涛の広告宣伝を繰り広げていたので、PayPalと一文字違いであることを知りつつ、強引に識別力獲得を狙っていくのかと思った。
しかし登録された公報を見てみると、指定商品・役務においてPayPalと異なっていた。
商標は登録されたが、何もこんなに際どいネーミングを選ばなくても良いのにと思ったが、飛ぶ鳥を落とす勢いの会社がやることは違う。
さて本題はこれから。
登録商標の「PayPay」、何か聞いていて違和感があるなあと前から思っていたのだが、その理由がようやくわかった。
原因は中国。
中国にいたころ、よく目にした光景が所構わず痰を吐く行為。
男だけではなく女も、そして年寄だけではなく若い人も、何の躊躇もなく平気で痰を吐くのである。
そのときの音に似ているのである。
それもそのはずで、痰を吐く音を表す語が「呸」、ピンインは「pei」なのである。
そしてもう一つ。
中国の女性が良く使っていた言葉が「ペイ」
どういう使い方をするのかというと、悪い言葉を言われたときにそれを払拭するときのような気がする。
「あんた最近太ったんじゃない?」と言われたときに「呸」と言い返すのである。
こちらの方が全く思い出せなかったのだが、一部Twitterで話題になったようで、ようやく心もモヤモヤが晴れた。
「呸」は、一言でまたは重ねて「呸呸」。
四声は1声なので「PayPay」の発音と同じ。
「呸」の意味は決して良いものではない。
日本的には、「ふん」とか「チェッ」というニュアンスもあるだろうか。
そんな悪い音の「PayPay」だが、日本国内で使う分には大した問題はないだろう。
しかしである。
「PayPay」というコード決済は中国の支付宝とリンクしている。
つまり、中国人も対象としているサービスである。
「PayPay」という外観及び観念は中国でも問題はない。
しかし「PayPay」の決済サービスを利用すると、アプリが必ず「ペイペイ」と発音する。
中国人の耳には「呸呸」と聞こえるはず。
支払う度に「呸呸」、つまり「ふん」、「チェッ」と言われる。
商標を決めるときに大事なローカライズという事前調査がある。
現地のスラングに抵触しないかどうかを事前にチェックする作業で、代表的な例は、「カルピス」。
「caw piss」と似ているいう理由でアメリカでは「CALPICO」に変えている。
「PayPay」は中国でスラングというよりも日常的に使っている汚い言葉と同じ。
中国との関係が深い企業なので知らないはずはないと思うのだが、これも知ったうえでの商標戦略なのか。