契約書を制する者はビジネスを制す

問題が起きたあとに整備されるのが法律である以上、法律はその性質上、現実の後追いしかできません。

ビジネスを行ううえで法律を守ることは当然です。

しかし法律に規定されていないことは、それが良いことなのか、悪いことなのか、これは裁判で決着がつくまでわかりません。

つまり、法律に規定されていないことについては、「裁判で決着がつくまでは全てが合法」なのです。

 

法律に規定されていないことについては、当事者がそれぞれ勝手に良し悪しを判断します。
利害関係が異なれば、一方が良いと考えることでも他方は悪いと考えます。

 

日本の法律は他国に比べて厳密につくられています。

それでも現実に起こりうる問題に対応しきれていません。

 

新しいビジネスに法律は追いついていない

ビジネスを行ううえで契約が大事だと言われる所以は、将来起こり得る問題は契約でしか対応できないからです。

インターネットやブロックチェーンなどが関わるトラブルは、現在の法律ができた当時は想定し得ないトラブルです。

 

契約書というとすでに出来上がった雛形を使い回せばよいと考えている人がいます。

雛形の契約書は、万人のビジネスに使えるように最大公約数的にルールを規定したものです。

将来起こり得る問題を予測して個々に詳細に規定していない以上、未来を先取りしていない「法律」と同じ機能しかありません。

 

法律を知らないから契約書が書けない

さて、契約を作るとなると弁護士に依頼すれば足りると考えている人が少なくありません。

確かに弁護士は法律の解釈、法律の適用についての専門家ではあります。

しかしビジネスの専門家ではありません。

 

ビジネスの専門家は契約を必要とする当事者であって、その当事者がビジネスを理解したうえでお互いの合意を形成していく必要があります。

 

この作業が契約書作成の最も肝心なところであり、ここで有利に立てるかどうかがビジネスの成否を左右します。

 

ビジネス当事者がしのぎを削りあって合意した内容こそが価値のある契約書です。

 

そのような契約書の最後の調整として、公序良俗違反がないか独占禁止法上の問題がないかという視点から確認するのが弁護士ををはじめとする法律家です。

 

またトラブルになったら司法解決に任せたいという人もいます。

弁護士と同様に判事もまたビジネスの専門家ではありません。

当事者の主張する内容が十分に立証されているかどうかという視点で判断するに過ぎません。

 

ビジネスの当事者以上にビジネスを理解している人はいません。

ビジネスを理解せずに契約書を作ることはできないのです。

 

著作権ビジネスの成否も契約書で決まる

著作権法の原理・原則は、「権利者の了解を得て利用する」という極めて簡単なことです。

著作権法の理解を難しくしているのは、権利者の権利を弱めるための例外規定、すなわち利用者が無断で利用できる規定が複雑に盛り込まれているから、に他なりません。

 

では著作権法に規定された例外規定を全て理解すれば著作権に関するトラブルがなくなるのでしょうか。

決してそうではありません。

 

著作権法も法律である以上、黒の場合と白の場合の間の「グレーな部分」が存在します。

いくら著作権法を理解しても、「グレーな部分」をなくすことはできません。

 

著作権法という法律に頼っている以上、「グレーな部分」と付き合わざるを得ないわけです。

 

著作権法に干渉されたくないなら契約書をつくるしかない

煩わしい著作権法に干渉されない方法は、著作権法に頼らず当事者間の合意のもとに契約を交わすことです。

公序良俗に反しない限り、どのようなルールを定めても構わないわけですから、こんなに便利な方法を活用しない手はありません。

 

著作権法で例外が規定されている私的利用のための複製を含め、一切の複製を禁止するという内容であっても構わないわけです。

 

契約を交わさないということは、「グレーな部分」を含め法律の直接適用を認めることです。

当事者間で解決できないトラブルは、司法の判断を待たない限り「グレーな部分」について白黒をつけることができない、ことを意味します。